トカチプについて

トカチプが生まれたわけ

近くにありすぎて、当たり前にありすぎて気付けなかった十勝の豊かさを、もっともっと、自慢したい。そして、今だからわかる、十勝の課題を、離れた地からも、自分ごととして考えたい。

だから。
高校を卒業して13年目。13年間で、同級生それぞれが、それぞれの場所で培ってきた、小さな力を集めて、大好きな十勝のために、大好きな十勝に想いを寄せたアクションを起こそうと決めました。

そうして2013年春に始まったのが、故郷十勝と東京の商店街をつなぐプロジェクト「トカチプ」です。

▶トカチプが生まれた背景のもっと奥の方

2011年、東日本大震災が起こって、東北はもちろん、東京も、あらゆる流通がストップしました。スーパーには、なにもなかったんです。本当に。(わずか数日のことでしたが。)何を信じたらいいのかわからない情報の渦の中で、「選択」を続けなければならない日々は、本当に不安定で不確かでした。自分たちの生活を、自分たち自身でコントロールできないことへの恐怖は、じわじわと、人の心を鋭くしているようにさえ感じました。 幸い、十勝出身の私は、いざとなれば家族に食べ物を送ってもらえたし、それを近所の方におすそわけすることもできました。 でも、それ以来、なぜ私は、“買う場所”を近所のスーパーや自分の手ではどうにもできない流通の中に任せているのだろうという疑問が残り続けました。

大きな流通に頼りすぎない、自分の手に負える小さな流通をつくりたい。

あの時の不安な気持ちが、こんな答えにたどり着いたのです。結局あの混乱の中で、生きるために必要だった一番のものは、「人とのつながり」でした。人とつながっていさえすれば、お互いに助け合って、補い合って、生きていける。安心できる。 そしてそんなつながりを、きっと、人はみんな、家族はみんな、求めているのではないかと。

私の家は農家ではありませんが、それでも、知り合いからのおすそわけやいただきものが食卓を彩ることはしばしばでした。「今年はよくできたから」「多く採れすぎたから」。そういった理由で、新鮮な食べものと感謝の気持ちが循環していました。

困った時はお互いさま。良いことがあったらみんなで分かち合い。そんな幸せの循環を、私は、家族や家族を囲む人たち、十勝の自然から、当たり前のように享受していたのです。

困ったときはお互いさま。そういって手を差し伸べられる相手が、この活動の中で育っていったら嬉しいです。

トカチプ発起人 編田博子